寺社・木造建築の基礎知識(重量計算)|和歌山の宮大工 藤井寺社建築工業
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寺社・木造の基礎知識
寺社建築の考え方
  

重量計算について


先日(2009/10)、当社に思い掛けないお問い合わせを頂きました。
それは、本堂1u当りの重量を知りたいと言うことでした。
RC躯体の上に本堂が建立されていてこのRCの耐震強度を測るため必要だと言うことでした。
今回、お問い合わせをして頂いた会社様以外にも必要とされる設計士様・会社様がおられると思い考え方をシェアしたいと存じあげます。

・・・では、本題に入っていきましょう。

本堂を新築する場合なら、設計段階で使用材(ヒノキ・ケヤキ・杉等)を決めていますので、木材部は各材の量と比重で算出できます。
また、瓦や壁も同様に基本的な数値がありますので算出できます。
上記の場合は、実重量に近い数値が計算できますが、莫大な時間が必要となるので効率が悪いです。

特に問題なのは、古い本堂や近年建立した本堂でも設計段階の資料が無い事です。

結論から申しあげますと本堂の重量は1u当り700kgと言われているようです。
ある機関(設計士様)の調査結果。
因みに一般木造(伝統工法)の場合、300kgと言われています。

しかし、私個人の意見として一律1uあたり700kgと言う事に疑問があります。
本堂の場合、規模により柱の大きさが変わると言う事です。
当然、それに伴う付属品(鴨居・敷居当)も変動します。
使用材によっても変動します。(ヒノキ・ケヤキ等)
また、柱が大きくなれば同じ壁面積でも壁圧も大きくなります。
屋根の形状(入母屋・寄棟等)言い出したらキリがありません。

余談ですがある総本山(重要文化財)の本堂の小屋束一体どれ位の
大きさがあると思われますか?
少し考えて見てくださいね。





答え7寸(210mm角)です。
我々民間の常識を遥かに超越しています。
・・・と言うことは、すべての部材が大きいと言うことですので1u当り700kgと言う
法則がこの本山の堂には、当てはまらない可能性があると言うことです。
 
では、どの様にして、堂の重量を算出するか?という事です。
木造住宅の基本重量を元に算出するのがベストだと思います。

五間の本堂で一例を挙げたいと思います。
規模にあわせて算出して頂ければ幸いです。

前提として、5間の堂、本葺き(土葺き)、使用材(ヒノキ・ケヤキ)の重量差は無いものとする。
屋根瓦 空葺き65kg/u(施工令)、屋根形状による差は無いものとする。
本葺き(土葺き)は空葺きの3倍と言われていますので、65x3=195kg/u
一般的に木造屋根勾配は6寸配・本堂は7寸配(基準勾配)ですので引き渡し差は
√(10の2乗+7の2乗)/√(10の2乗+6の2乗)=1.0517より1.052とする
よって、1m当り6寸配に比べ7寸配の方が0.52倍長くなる計算となります。
瓦1uあたり195x1.052=205.14kg/uよって、205kg/uとなります。
 
軒の出が木造の場合1m程度ですので1mと仮定します。
本堂の場合は、枝割(しわり)と言う法則があり、垂木を基準に柱・桁等すべての部材の大きさ
軒の出に至るまで算出しますが、今回は、垂木の大きさを2寸x2寸4分(60x72(単位mm))
と仮定して軒先までの出を11枝とします。
枝割りについては、こちらを参照してください。
1枝=2寸+2寸4分より4寸4分となり4寸4分x11=4尺8寸4分(単位尺)
これをメートル単位に直しますと4尺8寸4分x3.03=1466.5となり、1.47(m)とします。

本堂1間当り通常6尺3寸の計算(枝割りにより多少変動有り)ですが敢えて、6尺6寸(2m)とします。
1.47−1=0.47m木造より本堂の方が軒が出ている事になります。
よって隅が4箇所であることから0.47x4+2(m)x5(間)x4(箇所)=41.88(m)

向拝(本堂正面入り口の2本独立して建っているところ)の位置を軒の出から10枝前後ですので
10枝と仮定し向拝の桁からの軒の出を9枝(2段になっている事を意味します)とします。
よって10枝+9枝より19枝となり、19x4寸4分=8尺3寸6分より836x3.03=2.533(m)となり
2.5(m)とします。
そして向拝柱間を10尺(3m)(実際は枝割りより算出)と仮定して2.5x3=7.5uとなります。
本来ならケラバ(向拝柱より外側)も考慮する必要が有りますが今回は無視しても影響がないと
考えられます。

では、一旦ここで集計をしたいと思います。
大屋根部差部 41.88x0.47=19.68u
向拝部     7.5u
計         19.68+7.5=27.18u
勾配差1.052倍より27.18x1.052x195=5575.7kg
1u当りでは、本堂は5間4面ですので5x5で25坪
25x3.3=82.5u
5575.7/82.5=67.58kg/uとなります。
以上から屋根部の1uあたり総重量は195+67.58=262.58kg/uとなります。

通常5間の本堂ですと6寸程度の柱を使用します。
また、木造の住宅の柱は4寸を使用している物と想定して倍率を検討致しますと
次の様になります。
6/4=1.5となります。
木造1u当り300kgより300-65(瓦部)=235kg
柱が大きくなれば当然壁量も大きくなりますので瓦部から下を突っ込み換算して
235x1.5=352.5kg/u
よって、352.5+262.58=615.08kg/u+α(使用材過重差・ケラバ無視分等)となります。

今回は、本堂の重量700kg/uの枠に嵌りましたが、確認の為に調査する堂の規模に
合わせて計算してみてください。

しかし、この理論は、あくまでも概算の上での数値と言うことを念頭に置いてください。
建物の規模や建築様式・仕様により多少変動があると思います。


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